Klaus Filip / 中村としまる
Andrea Neumann / Ivan Palacky
『messier objects』
Ftarri|meenna-999|CD
曲目: 1. M1 Crab Nebula (40:06)、2. M20 Trifid Nebula (16:39)
演奏: クラウス・フィリップ (ppooll)
中村としまる (no-input mixing board)
アンドレア・ノイマン (inside piano, mixing board)
イヴァン・パラツキー
(amplified Dopleta 180 knitting machine, photovoltaic panels)
録音: 2011年10月4日、5日
場所: チェコ/プラハ「Babel Festival」
オーストリア/ウィーン「Amann Studios」
デザイン: tanabemse
発売: 2012年12月9日
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『メシエ天体』という風変わりなタイトルを持つ本盤は、オリジナルの音楽ソフト「ppooll」(アナグラムされているが、かつて「lloopp」という表記がされていたことから、もともとはループをもじった名前であることがわかる)を使ってラップトップ演奏するオーストリアのクラウス・フィリップ、ピアノを解体して内枠を取り出した「インサイドピアノ」を演奏するドイツのアンドレア・ノイマン、「Dopleta 180」という手編み機をアンプ接続して演奏するチェコのイヴァン・パラツキー、そして外部入力のないエレクトロニクス回路「ノーインプット・ミキシングボード」を演奏する日本の中村としまるによるカルテットが、2011年10月にヨーロッパ公演した際の演奏を収録したものである。サウンド・インプロヴィゼーションでは、サックスのような伝統的な楽器を伝統的に演奏しながら、耳になじんだ即興演奏の方法を逸脱していくアプローチや、それとは逆に、伝統的な演奏方法を意識的に迂回するアプローチ、さらには楽器を創作したり楽器でないものを演奏に用いたりすることも非常にしばしばなされている。ここに集まった即興演奏の辺境を生きるプレイヤーたちに共通するのは、しかしながら、現在の演奏へといたるそうした “出自” ではなく、サウンドを空間的に配置する際のローテク度ではないかと思われる。
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