左から、橋本学、多田雅範、益子博之の諸氏 |
masuko/tada yotsuya tea party vol.4
益子博之=多田雅範
四谷音盤茶会 vol.4
会場: 四谷「喫茶茶会記」
(東京都新宿区大京町2-4 1F)
日程: 2012年1月29日(日)
開場: 6:00p.m.、開演: 6:30p.m.
料金: 1,200円(飲物付)
ナビゲーター: 益子博之 多田雅範
ゲスト: 橋本 学
予約・問合せ: 喫茶茶会記 013-3351-7904(15:00~23:00)
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定期的にニューヨークを訪問し、日本のジャーナリズムではほとんど紹介されることのない現代ジャズの現場に触れている益子博之が、かつてECMファンクラブを主宰し、音楽雑誌の編集にも関わっていた多田雅範や、毎回ゲストに迎える現在活躍中のミュージシャンと、それぞれの角度から最新盤を聴きあい、クロスレヴューしていく音盤鑑賞会のシリーズが、喫茶茶会記で開催されている。ジャズといえばニューヨークが本場といわれているが、現在のニューヨークでどんなことがおこなわれているのか、ジャズファンの間ですら、共通認識が作られているとはいいがたいのが現状だということである。まずは聴く機会を作ることが必要という趣旨で、このライヴ・クロスレヴューがスタートすることとなった。ゲストにドラマーの橋本学を迎えた本年最初のセッションは、2011年度年間ベスト10発表を兼ねた一里塚ということになるだろうか。
四谷音盤茶会が選出した2011年度年間ベスト10は以下の通り。注目されたミュージシャンは、クレイグ・テイボーン(p)、タイション・ショーリー(ds)、メアリー・ハルヴァーソン(g)、クリストファー・トルディーニ(b)、クリス・デイヴィス(p)、クリス・スピード(ts,cl)など。最後の「HIATUS」(ハイエイタスと読む)のみ、別枠で選盤された日本のロックバンドである。J-POPの枠内では理解されないだろう音の経験が盛りこまれたアルバムとして紹介された。音楽状況や音の聴き方を、大枠で組み替えるようなムーヴメントがなくなった現状において、ニューヨークも多様なものが多様なままにあるということでしかとらえられないようなのだが、そのなかでも益子の解説のいくつかには、最近の傾向を示すような言葉がいくつか語られていたように思う。そのコメントもリスト内に添えておくことにしたい。
(1)Farmers by Nature『Out of This World's Distortions』
(AUM Fidelity 067)
(2)Tony Malaby's Novela『Novela: Arrangements by Kris Davis』
(Clean Feed CF 232)
(3)Steve Coleman and Five Elements『The Mancy of Sound』
(Pi Recording PI 38)
※[冒頭3タイトルのアルバムには、]あっているようであっていないような、あっていないようであってるみたいな感覚が[あり]、それぞれやり方は違うんだけど、きっちりあわせりゃかっこいいという感じが、どんどんなくなっているように思います。逆にみんな、あわせようとおもえばあわせられるテクニックは確実に持っているんだけど、それをわざとそうしない。 (益子)
(4)Tyshawn Sorey『Oblique - I』 (Pi Recording PI 40)
(5)Okkyung Lee『Noisy Love Songs [for George Dyer]』
(Tzadik Oracles TZ 7724)
(6)The Clarinets『Keep on Going Like This』
(Skirl Records SKLRL 013)
(7)Bill McHenry『Ghosts of the Sun』
(Sunnyside Communication SSC 1422)
(8)Jeremy Udden's Plainville『If The Past Seems So Bright』
(Sunnyside Communication SSC 1277)
※[ジェレミー・ユーディーンのように]こういう軽い感じで吹く人ってあまりいないんですよね。割合みんなアルトサックスは、ブリブリ吹きまくるタイプの人ばっかりで。個人的には、ポール・デズモンドみたいなテイストで、こういうのは残ってほしいなあと。
ニューヨークだと、ラテン系の人たちが、人数も多いってこともあってひとつの流れがあって、アルトサックスだとミゲル・セノーンというプエルトリコ出身の人が、いまとても人気があるんですけれど、まあ、昔ながらのラテンジャズだよねっていう感じなんですよね。で、もうひとつの勢力としては、インド・パキスタン勢がいて、これも移民がいっぱいいるからなんですけれど、ヴィジェイ・アイヤーとかですね、アルトサックスだとルドレシュ・マハンサッパがいて、あとギターのレズ・アバシとか、それもM-BASEみたいなものの流れで聴けるんで、一方の勢力としては、大きいし人気もあるんですけれど、そういうところに隠れてね、ちょっとこういう昔の、ふわっとした人っていないので、僕は貴重だと思うんです。(益子)
(9)Theo Bleckmann『Hello Earth! - The Music of Kate Bush』
(Winter & Winter 910 183-2)
(10)the HIATUS『A World of Pandemonium』
(Iron Gear Records FLCF-4406)
特に、若手を積極的に登用してニューヨーク・ジャズの支柱になっていたポール・モチアンの死は大きな出来事で、「時間を伸び縮みさせる」特徴的なリズムを生み出すモチアンの経歴を述べながら、多田はある時代の終わりをいい、益子は支柱を喪失したニューヨーク・シーンの今後の予測不可能性について述べていたのが印象的だった。
益子博之=多田雅範「四谷音盤茶会」は、本年度も定期的に開催していく。■
※当日かけられた音盤の詳細なデータは、下記にリンクを張った「喫茶茶会記」の該当ページにあがっています。
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喫茶茶会記