2011年9月24日土曜日

ESP(本)応援祭 第九回

本講座の講師である泉秀樹氏とイベント主催者の渡邊未帆氏

 8月21日(日)、吉祥寺サウンド・カフェ・ズミにて、“ニューヨーク・アート・カルテット”(以下NYA4)の出自とその周辺を紹介する<ESP(本)応援祭>の第九回が開催された。1964年11月に録音されたESP盤は、リロイ・ジョーンズの詩朗読「ブラック・ダダ・ニヒリズムス」(講座では詩人の書いたテクストも配布された)で有名になったが、それだけにとどまらず、グループに合流した各メンバーの来歴をたどっていくと、セシル・テイラーを先駆者とする活動のなかから登場してきたラズウェル・ラッドやジョン・チカイら、またNYA4の前身であるニューヨーク・コンテンポラリー・ファイヴに参加していたドン・チェリーが、オーネット・コールマンを中心とする音楽サークルを支えたキーパーソンだったことなど、初期フリージャズの二大潮流をめぐる動向を大きくつかむことができる。

 当日かけられたアルバムは以下の通り。

(1)Jörgen Leth Quintet「Blue Monk」,『Jazz Jamboree 62』(1962年)
(2)Gil Evans『Into The Hot』(Impulse, 1961年10月10日)
(3)R.Rudd - S.Lacy - H.Grimes - D.Charles『School Days』
        (Emanem 3316, 1963年3月)
(4)D.Cherry - A.Shepp - J.Tchicai - D.Moses『New York Contemporary 5』
        (Sonet, SLP36, 1963年11月15日)
(5)R.Rudd - J.Tchicai - L.Worrell - M.Graves - Amiri Baraka
        『New York Art Quartet』(ESP, ESP-1004, 1964年11月26日)
(6)R.Rudd - J.Tchicai - R.Workman - M.Graves『Mohawk』
        (Fontana, 1965年6月16日or7月16日)
(7)ラズウェル・ラッド『Roswell Rudd』(America30, 1965年11月2日)
         ※リリースされたのは1970年-1971年頃。
(8)R.Rudd - J.Tchicai - R.Workman - M.Graves - Amiri Baraka
        『35th Reunion』(DIW, DIW-936, 1999年6月)

 ラズウェル・ラッド初期の演奏を、セシル・テイラー紹介盤でもあったギル・エヴァンスの『イントゥ・ザ・ホット』で、またデンマーク出身のジョン・チカイ初期の演奏を、ワルシャワのジャズ祭にヨルゲン・レトのコンボで出演したときの録音で聴くなど、NYA4の前身であるニューヨーク・コンテンポラリー・ファイヴはもちろんのこと、1960年代の音楽の流れを世界的な規模でつかむような録音がそろえられた。

 このようにして一連の流れのなかにESP盤を置いてみると、NYA4へのミルフォード・グレイヴスの参加が、どれほどシーンを活性化することになったかが、手に取るように実感される。次回、記念すべき<ESP(本)応援祭>10回目の講演は、9月25日(日)に開催される。テーマは「サックス奏者特集 Part 1」。
























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■ 2011年9月25日(日)4:00p.m.〜 於 吉祥寺サウンド・カフェ・ズミ
【ESP(本)応援祭 第10回「サックス奏者特集 Part 1」】