【17日目】
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加世田剛
『Earth man』
構成・演出・出演: 加世田剛
保坂尚代
『破壊、消滅、その先に…』
"Dear My Earth & GoodBy My Earth"
振付・出演: 保坂尚代
音楽編集: 畑 圭
宇佐美雅司
『Listen to the He:art ─Love Letter─』
構成・演出・出演: 宇佐美雅司
日時:2024年7月15日(月・祝)
開場: 1:30p.m.、開演: 2:00p.m.
会場: 両国シアターX
(東京都墨田区両国2-10-14|tel.03-5624-1181)
料金: 前売り/当日: ¥1,000
舞台監督: 宇佐美雅司
照明: 曽我 傑、宇野敦子
音響: 柏 環樹、鳥居慎吾、川村和央
主催: シアターX
武術をベースにしたパフォーマンスで活躍する加世田剛のソロ『Earth man』は、おそらく地球に見立てられたものであろう、金魚鉢のような丸いガラスケースにたくさんの折り紙(鶴であったか金魚であったか)を入れた小道具を用意、ゴボゴボという水中音や波の音とともにその周囲をまわっては、猫のような手つきで金魚鉢から折り紙をつかみ出したり、ステージ前まで出てピストルやライフルを撃つしぐさをするなどしていった。ここには象徴的なしぐさを通じて地球に対しておこなってきた地球人の「罪」の数々が語られている。最後は、「スリー、ツー、ワン、ゼロ」のかけ声で操縦桿を握り、宇宙に飛び出していく場面で終演となった。アースマンは無事スペースマンへと変身を遂げられるのであろうか。
「地球惑星人として、いま」という芸術祭の共通テーマに真正面から応答した保坂尚代の『破壊、消滅、その先に…』は、広大な宇宙空間を思わせるスペイシーな音楽と、ホリゾントに映し出される地球のような、ブラックホールのような黒い天体を背にして、青いヴェールをたなびかせながら滑走するように踊っていったもので、地球という天体の危機が、リュック・ベッソン監督『フィフス・エレメント』(1997年)のような宇宙をかける物語としてエンターテインされた。異色のスペースオペラ風モダンバレエ作品といえるだろうか。
「第16回シアターX国際舞台芸術祭」で特別審査員、舞台監督を務めるスタッフでもある宇佐美雅司の一人芝居『Listen to the He:art ─Love Letter─』は、持ち前の一本気な性格が観客から愛されている俳優のワンマンショーといった体裁で、「地球惑星人として、いま」というテーマにビートルズ的な「愛こそすべて」という絶対的肯定の態度でこたえたもの。突然に鳴るドアベルの音で場面が切り替わり、女性の旧友であるらしい“あーちゃん”が登場したり、大家さんが登場したりして物語が進行していく。途中で人格が入れ替わり、“あーちゃん”になって語り出す場面は意外性に満ちていた。「覚えといてや。人は力によって動くものやないで、思いやりによって動くもんやで。」「愛とは、愛しても愛しても満たされぬ渇望。」などの言葉に主張が託されていた。信じるかどうかはあなた次第、このあっけらかんとした肯定性は間違いなくビートルズのポップ性につながっている。(北里義之)■
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